コンサルタント。
何故だか分からないけど学生に人気が高いように思える職業。
有名大の学生は割とコンサル希望の割合が高い気がする。
無論まったりがいいです!という学生もいる。
ワークライフバランスが叫ばれて久しい昨今、コンサルとしての業務とまったりという生活を両立できればそれはすばらしいことだけど、
残念ながらそこはコンサルティングという業務の特性や、この日本社会での労働観やら「まったり」とは相反するものが多すぎるわけです。
まぁその辺について、まがりなりにもコンサル業務もやったことある不肖私が思うところを書いてみます。
激務ポイント1_学習コストが高い
で、ここまでで既に激務要素が1つございます。
それは「ITに関する知識や感度の高さを人一倍求められる」ということ。
そして、「コンサルティング業務では基本プログラミングはしない」ということ。
要は業務の範囲内で自分で手を動かして学習する機会に乏しいということ。
まぁ導入事例やら見て「どうやら〇〇という技術を使えば××ができるらしい」程度の知識を得ることは簡単にできるけど、
その程度の知識しかないコンサルって何なんですかね?
ここの機能何故この技術使うの?とか聞かれて答えられます?
お客様に提案した後は予算を取り、開発の管理を行わなければならないので、
- そもそも難しい。開発に制約がある
- 過去知見の無い領域での開発
といったリスクの認識を行い、予算に織り込んでおかないと後で開発者からも恨まれますし、見積もり精度が甘いコンサルは社内外からの信用を無くしちゃう
等諸々問題が出ます。
別にそれなりに知識習得できるならプログラミングまでする必要はないけど、
IT分野に身を置くのであれば、その分野の知識を提供できないとコンサルである意味はないわけです。
というわけで仕事量とかそういう以前の話として、前提知識の習得にコストは諸々かかります。
コンサルだけじゃなくてシステムライフサイクル全般関わってる人ならO!J!T!で学べるかもね。
激務ポイント2_成果物のゴールが決まっていない
個人的にやばいと思うポイント。
- 仕事における明確な成果物は定義されていない。何が必要かは自分で考えなければならない。(従って委任契約が主)
- 労働時間も時間管理ではない。基本裁量労働制。
という特徴がある。
要は相手が納得するまで「頑張る」必要がある。この時点でもうね。。
お客様にNoと言わせない為に、「確かな根拠を前提に論理的な資料を作る」 とかはできて当たり前で、
相手企業様の隠れた課題、お財布事情、対面の方の考え等も理解しながらお仕事をしなければならないので仕事の質の面でも非常に疲弊します。
この資料できましたっつっても相手がNoと言えばNo。
顧客の人間性やシステム投資の考え等、人間的な部分に振り回されるケースもざらにある。
提案内容がしっかりしてても
- 資料のフォーマットが気に食わん
- 誤字脱字があって気にくわなかった
- というか途中からもう心の中で〇〇社に発注することが決まってて提案の内容を理解する気が無い
とかそんなレベルで提案拒否されることも少なからずあったりする。
しんどい。だからおのずと労働時間が長くなっちゃう。
「〇〇という引数から××という値を返せというモジュールを作る」というくらいに成果物が明確ならいいんだけどね。
「どうすれば自社の提案を採用頂けるか(どうすればお金出してもらえるか)」ってのは別にITコンサルに限らずいろんな会社が苦心してる内容だと思うけど、
どこまで何をやればいいのか見えづらいというのはサービス過剰気味のこの国においては激務を生む原因の1つになる。
※コンサルが裁量労働ってのは以下参考。
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/roudou/senmon/
(7)項に「システムコンサルタントの業務」とある。
まぁ時間給のコンサルって見たことないけど。
激務ポイント3_仕事の進め方も決まってない
スケジュールに関しては明確には決まってないことが多い。(納期だけは決まってる)
むしろスケジュール作成やら中間報告やらのセッティングすら業務。
整理の仕方という意味では、こういう課題に関しては〇〇というKPI置いてデータ分析しましょうとか、思考のフレームワークとかまとめておくべき考えみたいなものは大抵ある。
進め方をコミュニケーション計画やら体制図やらで表現して顧客に説明するのも仕事
激務ポイント4_責任範囲が広い
コンサルは基本委任契約。(明確な成果物の定義が無い)
そして大抵のコンサルは裁量労働制。
ポイント2にも書いたけど、
ゴールが見えず人に振り回されやすいという仕事の特性と、この国のサービス過剰気味のこの風潮の相性がすこぶる悪い。
提案だけじゃなくて、提案のためのタスクスケジュールの作成、顧客側会議体の設定まで全部振ってきたりとか割とある。
言い分は、「仕事を受けたんだから全部やるのが当然」というような決まり文句。もう文化だと思う。
下手したら社内政治やよく分からんシステム構成の制約になりうる事情等もこちらから積極的にヒアリングしなければならない。
(某金融系の仕事で訴訟沙汰にまでなった仕事もあったよね。)
委任契約の場合「プロとしての働き」を期待されていて、その上に善管注意義務やら、いろんな義務も考慮して仕事をしないといけないので下手に断ることもできない。
どうしても仕事の量が増え、それに応じた責任範囲も広くなり、それに対処するためのタスクが発生し・・と仕事増えすぎワロタ状態になれる。
個人的には情報サービス業っていう言い方はマジでやめたほうがいいと思ってる。
サービスは無償という考えを持つ人は年配の方に多く、企業の上層にいるのは基本的に年配の方なので。
※委任契約とかの言葉については以下。
www.chococranky.com
おわりに
コンサルというより何でも屋さんだとか、ほぼ苦労してる営業と思ったほうがいいかも。
むしろイメージばっか盛ってるコンサルは疑ったほうがいいくらいのレベル。
(余談ですが個人的に何でもかんでもコンサルを名乗る昨今の風潮は嫌い。ハイパーメディアクリエイターくらい信用できん)
就活中で何しようか決めかねている人にアドバイスするとしたら、
いや俺は開発で生きていくんだって人は開発だけやる会社にいけばいいし、
システムの構成とか考えたり、何をどうすればこの問題が解決できるのか、ITという道具をフルに使って考えてみたいって人はコンサルファームに行けばいいと思ってる。
まだどちらか決めかねているような場合はSIerでいいと思う。一次受けの大手であれば恐らく両方やる機会はあるはずなので。
ただ、人月商売というビジネスモデルを採用している背景と、SIerで新卒にコミュニケーション能力を求める背景から考えると、
- 単価高いコンサルとして売り出したい とか、
- プロマネとして使って直外比率を上げて利益伸ばしたい
という狙いはあるはずなので、SIerというジャンルの会社に入るのであればいずれコンサルかプロマネへのキャリアチェンジを余儀なくされる。